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ぶどう膜炎(ベーチェット病) |
■はじめに
ぶどう膜とは、脈絡膜〈みゃくらくまく〉と毛様体〈もうようたい〉、虹彩〈こうさい〉の三つをまとめて呼ぶ総称です。これらは眼球全体を包み込むよう広がっています。なにかしらの原因でこれらの組織に炎症が起こることを「ぶどう膜炎」といいます。
ぶどう膜炎は、サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病などがあります。
ベーチェット病
紀元後200年の、中国の漢方医“張仲景”による『傷寒雑病論』には、“孤惑病”として記載されています。
全身の皮膚や粘膜に発作性の炎症が繰り返し起こる慢性の病気です。原因はわかっていません。体内の異物を排除するときに集まってくる白血球が、異物はないのになぜか発作的に集まってきて炎症を起こします。
ぶどう膜炎のほかに口内炎や外陰部の潰瘍〈かいよう〉、皮膚症状(赤い斑点のあるしこりなど)がよく現れます。ベーチェットというトルコの皮膚科医が最初に報告した病気で、地中海沿岸東部から日本にかけての昔のシルクロード沿いに患者が多くみられています。
サルコイドーシス
全身の至るところに肉芽腫〈にくげしゅ〉ができる、原因の不明な慢性の病気です。肉芽腫とは、細菌に侵されたり炎症などで傷ついた部分の治癒〈ちゆ〉過程でできる、正常な免疫反応ではあります。しかし、この肉芽腫そのものが炎症を引き起こしたり、消失せずに周囲の組織を線維化するので病気が発症します。ぶどう膜炎のほか、皮膚やリンパ節、肺、心臓、脳、腎臓など、さまざまな臓器・部位に影響が現れます。
虹彩に肉芽腫を伴うぶどう膜炎を起こします。炎症が軽くなったり強くなったりしながら慢性的に続きます。飛蚊症がひどくなったり、緑内障や白内障になってしまうことがよくあります。高度な視力障害を伴うこともあります。
原田病(Vogt〈フォークト〉-小柳-原田病)
自分の全身の正常なメラノサイト(色素細胞)※2を標的にする自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来はからだに侵入する異物を排除してからだを守る免疫システムが、あやまって自分のからだの正常な組織を標的にして排除するように働いてしまう病気です。
メラノサイトの多い部分に炎症が起こり、ぶどう膜炎と前後して、めまい・難聴・耳鳴りなどが現れたり、髄膜〈ずいまく〉炎を併発して、そのために激しい頭痛が起こったりもします。その後、皮膚の一部が白くなったり、髪の毛が抜けたり白髪になったりします。
炎症が強いと両眼に網膜剥離が起こってきます。この病気は、発病後の早い時期にしっかり治療して慢性化させないことが、とくに大切です。
■症状
ぶどう膜炎が生じると、目の中の透明な前房と硝子体に炎症性細胞が浸潤するため、霧視(かすみがかかったように見えること)や飛蚊症(虫が飛んでいるように見えること)と羞明感(まぶしく感じること)、その他、視力低下、眼痛、充血などの症状がみられます。片眼だけのことも両眼のこともあり、両眼交互に症状が現れることもあります。症状の経過は、だんだん悪くなるものもあれば、一時的に良くなり再びまた悪くなるといった再発・寛解を繰り返すものまでさまざまです。
■西洋医学治療
局所療法としては、炎症を抑えるための副腎皮質ステロイド点眼薬と炎症により茶目(虹彩)が黒目(水晶体)に癒着し瞳が不整円となる虹彩後癒着を予防する散瞳薬点眼が処方されます。目の炎症が強いときは目の周りの組織に注射する場合もあります。目の局所治療だけでは良くならなかったり、目の奥に炎症が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の全身投与が行われます。
■合併症
ぶどう膜炎の合併症には、白内障、緑内障、硝子体混濁、網膜前膜症、嚢胞様黄斑浮腫などがありこのような合併症は炎症が落ち着いても視力が回復しない原因であり、難治なぶどう膜炎では黄斑変性や視神経萎縮を来し、高度な視力障害に至ることがあります。
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☆ ぶどう膜炎と漢方 |
中医治療は効果がとても良いです。早期には涼血止血活血、炎症を抑え。
よく使う生薬は生地黄、茅根、側伯葉、黄ゴン。後期には活血化お、行気散結です。よく使う生薬は蒲黄、丹参。それによって、血流を良くし、出血を防ぐことができます。古い出血痕や、滲出斑を散らし、吸収して、視力が上がる。しかも、血行をよくし、再発も防ぐことができます。
黄斑に及ぼす出血も、中医治療では非常にいい効果が現れています。速やかに出血を吸収し、黄斑の機能を回復しつつ、視力がよくなります。
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肝胆火盛(急性期が多い)
症状: 視力減退、角膜裏炎症の沈着物質が多い、ガラス体混濁、網膜滲出、視神経乳頭充血、黄斑浮腫、静脈拡張、出血。目がかすみ、口苦、頭痛、尿が短くて、赤い。舌紅脈弦。
漢方薬: 竜胆瀉肝湯+うこん、桃仁
湿熱
症状: 視力減退、ガラス体混濁、網膜滲出、浮腫。倦怠、胸重苦しい、下痢、舌苔白膩、脈濡速。
漢方薬: 三仁湯加減
痰お血
症状: 治りにくくて、ガラス体混濁、網膜滲出、毛様体新生血管、虹彩後癒着、視力減退、目が張って痛い、頭痛、舌暗紫、苔厚膩、脈沈渋。
漢方薬: 活血散結湯加減
虚火
症状: 発作繰替え、ガラス体混濁、網膜白黄色滲出、静脈閉塞、視神経乳頭充血浮腫。咽乾き、不眠、手足の裏が熱い、舌紅、苔薄い、脈細数。
漢方薬: 知柏地黄丸
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☆ ぶどう膜炎の食事 |
良い食物
さっぱりしたもの、植物繊維、野菜、果物。
気を付ける食物
辛熱い、生、油濃い、揚げ物、強いお酒。
タチウオ、かに、二枚貝、羊肉。
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